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更新
07.7/15 ROEの新しい式を追加

ROE(自己資本利益率、株主資本利益率)とは  Retrun on Equity


ROEとは株主からみてどれだけ儲けているかを示す経営分析の指標である。日本では90年代後半から積極的に利用されるようになり、今ではビジネスの標準語になっている。株主重視の経営=ROE重視の経営、と言えるくらい重要な経営指標だ。従来は次の式で定義されていた。
ROE=当期(純)利益÷株主資本
分子の当期純利益とは損益計算書(P/L)の一番下の利益、つまり最終利益だ。分母の株主資本とは従来のB/Sの「資本の部」のこと。株主の払い込んだ資本金と、過去から利益を蓄積してきた剰余金等からなる。これらは全て株主のものである。

企業業績の収益力を見るために売上高利益率(例、売上高経常利益率)があるが、業種業態によりコスト構造が違うから自動車メーカーと不動産会社を同一に比較するようなことはできない。それに対して、ROEは株主の持分に対する利益の割合を示すから、業種業態の違いに拘わらずに企業の比較ができる投資家サイドの指標なのである。

新しいROEの式

しかし、2006/5月の会社法改正のB/S表記の変更に伴い、次式に変更された。名称も、自己資本利益率または自己資本当期純利益率となった。

ROE=当期純利益÷自己資本
自己資本=純資産−新株予約権−少数株主持分


ROE > 長期金利

株主から見れば、株式(投資)とはリスクが高いものである。だからROEの値が、もっとも安全度が高い国債利回り(長期金利の指標になる)より低いことは許せない話しだ。つまり投資家から見て有利な投資先とは高ROE企業なのだ。ここにROEが経営者の通信簿と言われる理由がある。

ROEの計算では、自己資本を期首と期末の平均値を使う場合もある。当期利益は期間の儲けであるから、分母の自己資本も期末の値よりも平均値の方が実態を表すという意味だ。資産の変化が少ないときはかまわないが、リストラ等で大きく変化しているときは平均値の方が実態に近い。自分が計算した値と、新聞やホームページ等で表示されているROEの値が違うときは、この点を疑うと良い。
また他の指標を使って、ROE=EPS/BPS とも表現できる。EPSは一株当たり利益、BPSは一株当たり純資産

ROEは売上高利益率よりも業種のバラツキがないので投資家からみた収益性の比較に適する。一般に国際的な優良企業と呼ばれるには15%程度は欲しい。今日の日本企業もこの指標を重要指標として捉えており、大企業でもキヤノンやホンダ、武田薬品などは10%を超えだした(連結ベース)。規模の小さい企業や赤字からの再建が上手くいっているときなどは、分母の株主資本が小さいから、ちょっとよい業績(利益)がでるとROEは異様に高い値になることもある。

日産  ホンダ トヨタ GM 2005/3期の連結
GMは2003/12期
22.8% 15.8% 13.6% 23.8%

なお、2004-06年にかけての企業業績は好調であり、主要企業では10%を超えだした。しかし利益の拡大が株主資本を増やしているためにROEの上昇ペースも落ちそうだ。利益拡大を内部留保ではなく配当などの株主還元へ切り替えていかないとROEとの両立も難しそうだ。

参考: さらに詳しくは・・・ROEの分解式(ROA)



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