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2009.2/4

手元流動性とは(手元流動性比率)短期の支払い余裕度を示す指標


手元流動性手元流動性とは変わった表現だ。昔から「手元不如意」*という言い方がある。「手元に気軽に使えるカネが無い」というわけだが、そこから来ているのだろうか・・・  *てもとふにょい
 貸借対照表の流動資産にある現金預金と有価証券はすぐに手元から取り崩して使える資金という意味で手元流動性とか手元資金と呼ぶ。それを月商(年間売上高÷12)で割った値を手元流動性比率とよび、月商に対する倍率で表現される。手元流動性比率が高いほど資金に余裕があり、低いと資金繰りがきついことになるから短期的な支払余裕度を示す指標である。資金繰りの良し悪しを見る指標とも言えるだろう。

手元流動性比率=(現金預金+短期保有の有価証券)÷月商

 しかし、現預金には担保に入れた預金が含まれることもあるから単純に評価できない面もある。借入直後や大きな買収後は変化も激しいので、分子は期首と期末の平均を使うこともある。手元流動性比率と言わずに、たんに手元流動性と呼ぶこともある。

個人に例えると、月給の何ヶ月分の普通預金があるかというような意味になるので、理解しやすいだろう。ではどのくらいあればよいか?。1ケ月分しか手元に無いというのは、日々の家計ではやり繰りがきつい。個人的には不意の支出にも耐えられるように数ヶ月分は持ちたいものだ。逆に持ちすぎるのは資金運用面からもったいないことになる。


手元流動性比率はどのくらいが適切か

企業はどうだろうか。一般には数ヶ月分の水準が望ましいが、実はそれほど多くはない。ギリギリで回しているというのが実情だろう。大企業でも2カ月前後あればよい方だ。

 例 (2007/3月期)
  ファナック  14.2カ月
  任天堂   13.4カ月
  トヨタ自動車 1.2カ月

この例の二社は異常値だ。売上の一年分以上をキャッシュで持っている、というわけだ。一年間商売を休んでも給料を払えるわけだから、凄い。昔からこの二社は高かった。1997年度ではファナック20カ月、任天堂17カ月(単体決算)。長期にわたり、競争力の高い商品を持ちながら、規模拡大をあまり追わないとこうなってしまうのかも。日本一の金持ち企業、トヨタ自動車の2007/3月時点の手元流動性は2兆3千億円と巨額だが、売上高も24兆円あるから、手元流動性比率は1.2カ月と並みの水準である。別に資金繰りがきついわけではない、大企業では銀行からの調達が短期間でできるから、余分に持つことはむしろデメリットになる。

手元流動性(比率)が高いと、投資を手控えていて、競争力が落ち、将来の収益力が低下するかもしれない、と見られたり、買収の対象になることもあるから、キャッシュリッチ企業もツライ・・・

中小企業の手元流動性比率

中小企業全体の平均では80年代後半のバブルの好況期は2カ月もあった。景気が悪くなり、融資が厳しくなると手元資金を取り崩すために低下する。概ね1〜1.5前後が多い。業種や企業によっては1カ月を切る場合もある。狭義に手元流動性をみるには現預金のみの次の比率を使う。
 売上高現金比率=現預金の期首期末平均残高÷月商


手元流動性については、日本銀行の全国短観に統計データがある。企業の資金繰り状況を見ているわけだ。
 2009/1/22 日銀の白川総裁は会見で、「・・・大企業が先々の資金繰りに不安を持つことは98年の金融危機以降しばらくなかった。特にこの4、5年間は・・・流動性や資金繰りについて懸念するということがなかった。それが突然、手元流動性が枯渇するのではないかという恐怖に陥った。・・・・」と述べている。


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