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本文へジャンプ 2006.4/24

 

コトラーによる製品市場選択のタイプ---標的市場の戦略的選択


コトラーの製品・市場グリッド分析による見方を紹介します

(プレジデント社/コトラー著/マーケティング・マネジメントより)

  • 市場を同質集団とみなすことは不可能であり、市場とは細分化されているものである。市場細分化の中でどこが自社の対象となるのか、あるいはどこで優位にビジネスを進められるかに関心を向けなければならない、というのが基本的な考え方です。
  • 複数市場と複数製品のマトリックスを作り以下のような見方を交えながら、シミュレーションを振り返ると経営的視点や戦略的視点の一端に触れることができます。ここではPRIMOコースの例で学習します。市場が4つ(実際は5つ)、製品が2つのためにセグメントが少ないのですが、それでも「標的市場の戦略的な選択」というコトラーの示唆は役に立つでしょう。

製品と市場の集中化
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製品と市場の集中化はこの場合、あまりにも狭い市場になります。
 多分、市場調査をしてもそこだけでは喰えない結果が出てくるでしょう。そして、どなたもとらなかったでしょう。このシミュレーションでは過度な集中はリスクが高いという結果になるかもしれません。ただし、現実にはニッチ戦略とか集中戦略として立派に存在します。世の中で名のある中堅中小企業は皆これで生きています。

市場の専門化
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つぎに市場の専門化はどうでしょう。
 これも集中しすぎでリスクが高そうですね。しかし規模を追わずに堅実経営なら選択の余地はあります。もしあなたがこの戦略を採ったとしたらかなりねばり強い性格の持ち主です。営業所を建てると効果がありそうですね。ただし、この戦略のリスクは仕入コストの低下が見込めないと言うことです。価格競争力が弱いので、縁故販売に特化しやすい地方にしましょうか???
 この戦略は、特定顧客層(例、官公庁、特定産業)に対してフルラインで製品とサービスを提供するような場合に有効です。価格よりも、顧客を熟知して提供することが肝心です。

製品の専門化
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製品の専門化は、十分とれる戦略です。
 ただし意識してとったのか偶然そうなったかの違いがあります。つまり他商品へ手を出す余裕がなかった。他社が他の市場へ向かったので、競争が手薄になり結構良い成績が上がっり安住した。これは「残り物に福」です。いずれにしてもこれで成功するとある程度の規模と、高収益が期待できます。
 一般に製品専門化は製品の低コスト化や高付加価値化がとれるからです。この戦略のリスクはその製品市場の将来性でしょう。特化した先が衰退市場では不安です。定期的な市場調査が欠かせません

選択的専門化
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 選択的専門化はどうでしょう(注 選択マスの数が3つである必要はありません)。
 試行錯誤の結果そうなるのと、不安定な場合があります。前者は販売結果や市場調査の分析で定量的に絞り込むことができます。戦力の集中として良いかもしれません。ただし仕入が分散するので、大量仕入れのメリットが享受できないので高コストになるかもしれません。 
 選択したグリッド市場の評価は、地域別製品別の貢献利益分析をする必要があります。グリッド別の(限界利益−直接費)で計算できます。やってみましょう
 後者の「不安定な」というのは落ち着きどころがなく常に変わると言う意味です。市場への深耕度が浅くなるために競争力が蓄積しないリスクがあります。一般には市場規模の大きいところを選択しますから、競争も激しいために、深耕するか撤退するかの判断がむずかしいですね。

全面攻略
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 全面攻略はリーダー企業のとる戦略です。
 いわゆるフルライン戦略です。市場の全ての隙間をカバーしようとしますから、経営資源の厚み・資金力が不可欠です。リスクも大きいのですが、これを押さえるとリーダーになります。大量購買による低コスト化が価格競争力をつけます。
 しかしながらたんに8つのマスに広く浅く販売資源を投資したのではダメです。それでは集中戦略をとる他社との局地戦に勝てません。中途半端な全方位戦略は全ての局地戦で完敗し、中途半端な選択的専門化へと追い込まれます。初期の経営資源に乏しいときにこれをやるのはバクチ好きな方です(売上日本一をめざすとか言って)。
 したがって、大量のセールス部隊と大量の販売促進費が不可欠です。他社の倍は必要です。多少の非効率さは我慢します。ですからそこにたどり着く前に、他の4つのいずれかで成功を収める必要があるでしょう。
 この戦略のリスクは規模を追いすぎることによる非効率さです。また専門業者(差別化主体の)との競争に弱い点があります。不況期には経営資源が重荷になります。


どの戦略的な選択にも一長一短があります。現実の経営で大切なのは一貫性を持つことと、「機を見るに敏」ということです。前者は成功するまでふらつくなということであり、後者はちゅうちょせずに戦略転換をせよという意味です。
 つまり矛盾しています。どちらも正しくまた誤りにもなります。ではどうすべきかと言うことですが、それは明確に意識してそうしているのか否かの違いです。
選択を変える契機は、市場や経営環境が大きく変わるときです。それは通常ははっきり見えません。誰の目にもよく見えたときは遅すぎます。そこに先見性という経営者のカン・あるいは市場を見る目が問われます
現代の経営戦略の本流は 「選択と集中」 です
 上記の製品市場選択だけでなく、経営資源も含めての選択と集中です。自社の強みを活かし、不採算分野からは思い切って撤退し、自社の強みを徹底的に追及しようと言う戦略です。シェアが上位でない市場からは撤退すると言うものです。 平たく言うと「得手に特化せよ」です


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