経営シミュレーション研修による人材養成プログラム・・・ビジネス用語の解説
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更新 2012.6/22
・Excelによる損益分岐点図表グラフの作り方
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  1. 損益分岐点とは
  2. 事業を始めるときの目算
  3. 二期間のP/Lから損益分岐点を推定する方法
  4. 固定費と言えども変化し、変動費と言えども変化しない
  5. 損益分岐点図表グラフをExcelで作る方法 ・・・New
  他参考ページ:  限界利益とは 貢献利益とは 損益分岐点の位置(安全率)と固定費型経営


1.損益分岐点とは BEP (Break Even Point)

昔は収支トントンという表現があった。何となく語呂もよいので今でも使う人がいる。その意味するところは、売上と費用が同じくらいで利益が殆ど出ていない状態ということだ。それなら、会計的には損益トントンと言うべきだ。・・・なぜなら収支とは収入と支出であり資金繰りでの言葉だからだ。
さて、利益が丁度ゼロとなる売上高のことを「損益分岐点」とか「損益分岐点の売上高」と呼ぶ。ここでは固定費や変動費、限界利益については理解されている前提で、損益分岐点の図と計算式を見てみよう。なお「損益分岐点の売上高」をBEP、固定費をF、変動費比率をv、限界利益率をm と省略する。

損益分岐点の図と式
一般的な教科書の式は
 BEP=F÷(1−v) ・・・これはy=vx+F、y=xの連立式から求められる。
しかしこの式は覚えにくいので、1−v=mだから BEP=F÷m のがよい


損益分岐点=固定費÷限界利益率

話を簡単にするために、事業が単一商品のみとすると、売上高は価格Pと販売数Qの積である。つまり損益分岐点の売上高はP×Qだ。そして損益分岐点のときは「限界利益=固定費」だから次の式が成り立つ。

mPQ=F ---- 売上のm%は固定費に等しいという意味

mPQ=F式の良いところは、限界利益率、価格・販売数、固定費が一目の関係になっていていろんな発想がしやすい点だ。しかし現実の企業は、変動費の異なる複数の商品・サービスを扱うのであり、単一の限界利益率で表現することはできない。そこに「限界」があり、理屈と現実との差がある。でも、少し荒っぽくてよければ、単一の限界利益率で把握できる事業単位で利用すればよいわけだ。


2.事業を始めるときの目算

mPQ=F式は商売を始めるときの損益見積もりをするときに役立つ。例えば・・・仕入販売業ならば粗利率を限界利益率として使ってかまわない・・・それ以外の変動費の発生する業種でも「当たらずとも遠からず」のつもりで粗利率を使っても良いだろう。
@まず固定費を見積もる。売上が低迷しても必要となる企業の生活費だ
Aつぎに限界利益率を設定するが、これは同業者などを参考にして、楽観値から悲観値まで幾つかのシナリオを設ける。例えば、35%、30%、25%など
B最低目標の売上高(損益分岐点)=固定費÷限界利益率
 これでよいわけではない。これは最低の売上高だ。利益が0だ。利益を出すのが目的だから、目標利益を100万円とか設定してみる。次は目標利益100万円を出す売上高はいくらか?という問題になる。
C(固定費+利益)÷限界利益率 ・・・これが目標利益を達成する売上高である。この式は固定費を利益分だけ架空の水増しして、損益分岐点を再計算しただけである。
(例)

人件費 100 限界利益率を30%と仮定する

BEP=F/m=185/0.3
=617
目標利益を20とすると

BEP=(185+20)/0.3
=683
家賃 30
その他費用 40
減価償却費 10
支払利息 5
費用合計F 185

 さて、目標利益とその売上高が決まったけれど、それで終わりではない。実はその売上高PQをどう実現するかがもっと大切なのだ。これだけなら空疎な計算でしかない。しかし、Pという価格でQの数を売る方法は会計では求められない。マーケティングの領域なのだ!
なお、変動費が極めて少ない商売(例えば床屋、ソフトハウス等)なら固定費に見合う売上が損益分岐点になる。


3.二期間のP/Lから損益分岐点を推定する方法

これは「費用の増加÷売上の増加」が変動費率であるとみなしている(総費用法と呼ばれる)。比較する2期間で固定費が一定で、変動費率も一定であることを前提としているので、粗い推定計算になる。

前期 −当期 =差額
売上高 1000 1100 100
総費用 800 850 50

変動費比率=50/100=0.5、変動費=1100×0.5=550
固定費=850-550=300
損益分岐点=F/m=300/0.5=600

商品売買小売業の場合の推定計算

売上原価が変動費、経費が固定費とみなして計算することが多い。もちろん詳しいデータがあれば、費用分解するにこしたことはない。
損益分岐点=(販管費+支払利息割引料−受取利息配当金)÷粗利益率


4.固定費と言えども変化し、変動費と言えども変化しない

固定費の性格は操業度に関係なく発生するというものだが、時間に対しては比例的に増える性格もある。人件費、家賃、保険料しかりである。その意味で期間費用とも呼ばれる。固定費の多くは長期的な契約のもとに発生するものが多い。
しかし、費用を固定費と変動費に分けることは仮定によるものである。純粋な固定費や変動費というものは少ない。固定費といえどもリストラをすれば減るわけで、常に一定などということはありえない。つまり経営者から見たらコントロールできない費用はないのだ。また変動費についても、歩留まりが改善すれば10%増産しても変動費は変わらず、ということもあり得る。教科書を鵜呑みにしたような理屈だけでは損益を語れないということである。

参考: 損益分岐点の位置(安全率)と固定費型経営



5.損益分岐点図表(グラフ)をExcelで作る方法

マイクロソフトのエクセル(Excel)のグラフ機能を使って、損益分岐点の図を作る事ができる。

0 売上高 
 固定費F  総費用
Excelによる損益分岐点図表
  1. 上記の4つのセル位置に値を入れる。売上高は実績でも計画でも良い。総固定費Fと変動費の合計としての総費用を入れる。
  2. 4つのセルを範囲選択して、面グラフを描く。
  3. グラフの中の系列1が、売上高線になるので、それを折れ線グラフに変更する。
  4. 基本はこれで完了。
    後は書式等の修飾にすぎない。グラフ中にBEPの金額を参照表示させるとよい。

●同じく、ブログ(ビジネスゲームの館)にも紹介






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