経営シミュレーション研修による人材養成プログラム・・・ビジネス用語の解説
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2007.7/16 株主資本を自己資本に修正
2009.1/9 図版追加
2010.5/31 一部加筆
2011.10/27一部加筆


本稿の元となる本です。各章末にテスト付き


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ROEの分解式

ROEの式や意味がわかっていると言う前提での解説です。

「ROEの値は高いほど良い」とは単純にはいえない。なぜなら分母の自己資本が小さいがために高ROEとなる例が多いのだ。過小資本の企業とか長年の業績悪化で資本が脆弱(債務超過転落すれすれ)になり、そこから(まさに底から!!)業績が回復するときなどは、分母が少なくて利益がそこそこ出ているために、100%を超すような異常な高ROEとなる。つまり自己資本比率の小さい企業だ。
だから、単なる値の大小では評価できない。ROEの中身の分析も不可欠になる。売上高を介して次のように分解できる。

ROE=当期利益÷自己資本

= (当期利益÷売上高)×(売上高÷総資産)×(総資産÷自己資本) と分解できる。

これは、当期利益率×総資産回転率×財務レバレッジ であるから、
        収益性× 効率性 × 負債の有効利用度 となる。

前の二つは結局ROA(総資産利益率)そのものだから、ROE=ROA×財務レバレッジである。

ROEとROA

ROEの値の高さ・低さがどの構成要素から成るのかを見ることが大切である。
望ましいのは収益性の高さである。しかし、売上高当期利益率を単独の経営目標にする企業は少ない。一般に連結ベースなら営業利益率で5%とか10%を目指すという例が多い。
ついで資本の効率性。総資産回転率は製造業なら1が基準だ。つまり売上高と総資産は限りなく近づく、というわけだ。P/LとB/Sが同じと覚えておくと良いかもしれない。

 P/L≒B/S ・・・ 売上高≒総資産 なんと、美しく不思議な法則!?

 ただし、重厚長大型企業では1に遠く及びない。逆に商業系企業の場合は2に近い例も多い。業種により異なるわけだ。
そして、ROEの高さがこの二つ(ROA)に依存しているならば健全だ。しかし、世の中にはそれでも満足できない投資家がいる。金利の利率よりも高い利益率の事業があるのだから、もっと積極的に借入して事業に投資せよと言う人々だ。彼らの好むのが財務レバレッジである(会計用語を参照)。
しかし財務レバレッジは自己資本比率の逆数であるから、それに依存した経営はリスクが高くなる。だから財務レバレッジを排除すると、結局はROAで見たほうがよいという結論になる。

ところがそれでもダメなのである。
分子の当期利益とは期間の最終利益だが、その値の大小では本当には判断できない。再建企業には巨大な特別利益を計上する例もあるから、それを除外して評価しないとダメ。と言うわけで、ROEにしろROAにしても単純に値のみで判断してはいけないわけだ。単一の指標のみで経営の良否が断定できるわけではない、と考えれば当然だろう。

再び、三要素の話しに戻すが、中でも当期利益率が一番変化しやすく、総資産回転率は安定的である(売上や総資産は大きい値であるから、そう極端には変化しないものだ)。また財務レバレッジも資本構成に依存するから急には変わらない。だからROEの目標値を決めるときは、現在の経営状態から推定して、回転率を1、レバレッジを3、というように先に決めて、利益率を4%ならばROEは12%になる、という風にするとよい。


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