経営シミュレーション研修による人材養成プログラム
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1.経営資源のバランス感覚
2.投資の意思決定におけるタイミング感覚
3.会計能力が必須
4.ヒューマンな資質重視
5.二つの経験則
6.まとめ

開発コンセプトを語る


長くなりますが、経営シミュレーションの開発コンセプトをお話しします。
事業能力として目的化した4つの能力向上を目指すことは、トップマネジメントの思考レベル(平たく言えば社長という立場でのものの考え方)に接近することに他ならないと考えます。その第1は・・・


1.「経営資源のバランス感覚」について

知的武装経営資源をヒト・モノ・カネというような形態的なものではなくて、生産、仕入、販売、財務、R&Dなどの経営機能を遂行する力(資源)ととらえます。特に経営シミュレーションの中では、生産(または仕入)と販売・および財務(資金)のバランスというテーマでとらえます。
ところで、一般のビジネスマンは特定部門に長く着任することで、その領域に関する頭の回路はピカピカに磨かれています。しかしながら、他の回路はほとんど使っていないためにサビついているのが実状です。スペシャリストとしてはそれでよいのですが、事業能力としてはバランスを欠きます。
 事業責任者としてのバランス感覚とは特定部門の代表者ではなく、全体的視野からの発想ができることです。 それにはまず、自分の苦手分野を克服する必要があります。
 すなわち自己の未踏領域の克服が不可欠です。平たく言うと、生産畑の人にはマーケティング的な発想って何だろう、マーケティングの専門家には、生産や財務は経営にどんな役割を果たしているのだろう、というような、異分野の体験と理解です。すでに持つ専門性をより一層高めながらも、自己の未踏領域を克服しようと意識できるビジネスマンこそが経営幹部にふさわしい候補者なのです。

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2.「投資の意思決定におけるタイミング感覚」とは

長期と短期の時間軸に対するものです。個人的には、投資判断においては「最適」というのはないと考えております。最適であるか否かは『後から振り返って分かる』ものであり、その渦中では分かりません。「神のみぞ知る」領域です。
 「ちょうど良い」がないのですから、早すぎるタイミングと遅すぎるタイミングの2つしかありません。一般論として、早すぎるタイミングが功を奏する事例が多くあります。いわゆる先行投資です。早すぎることによる一時的な損失やキャッシュフロー上の資金繰りを耐えさえすれば、埋めて余るほどの先行者利得を得ることができるからです。早い者勝ちです。ただしその市場に成長性があることが大前提です。
 投資の判断力を磨くことは難しいことです。性格・資質も影響します。しかしながら、成功と失敗の体験を繰り返すことで、感覚的にとらえることは可能ですから、本コースの中で短期と長期の投資的意思決定を繰り返します。
 さて投資の決断を思いきってできるという資質が備わっているとしても、それを事前に損益や資金レベルで裏づける力が必要です。そうでなければ、結果オーライにすぎません。「投機の才」にたけているだけです。

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3.会計能力は必須です

会計は経営をコントロールして測定するものですから、あらゆる経営要員にとって必須科目として不可欠です。ただし、重視するのは事業責任者として知っておきたいレベルであり、経営的な視点からの理解です。経理的・簿記的な手続きの理解ではありません。
 まずはP/LとB/Sへの理解が第一歩になります。この2つのアウトプットをもたらす一連の会計手続きを財務会計と呼びますが、本コースではその作成プロセスを会計を苦手とする人にも分かりやすくガイダンスします。
 そして重要な経営指標の理解へと進みます。代表的指標であるROAやROE、さらに投資家向けのPER、BPSなどはもとより、回転率と収益性・安全性などの指標をたんなるコトバとして接するのではなく、経営におけるトレードオフであることを学習します。繰り返しになりますが、あくまでも「経営的視点からの会計理解」を重視します。
 さて、上記のテーマなら書店にあり余るほどの会計本がありますが、本コースでは資金循環という視点からも体験学習できることが特徴です。本だけでは資金の理解や体験は得られないのが実状です。静的な会計ではなく、動的な会計を学びます。
 その典型例が資金繰りです。大企業ではあまり必要のない側面(資金調達よりも資金運用にウェイトがあるため)ですが中小企業ではP/Lよりも重視されます。本コースでは不況や貸し渋りという局面や「ナニワ金融道」にも通ずる手形取引を体験できるでしょう。
 「資金繰り」とは刹那的なものですが、それを現金増減の原因分析という視点でまとめたのがキャッシュフロー計算書(C/F)です。 キャッシュフローとは実にわかりにくい資金概念ですが、参加者はまず具体的な資金繰りの体験を通して損益と収支の違いを理解できるのです。つまり利益とキャッシュの違いを理解できるのです。
 もう一つ、忘れてならないのは財務会計と双璧をなす管理会計です。これは意思決定に役立てる会計です。本シミュレーションの中では損益分岐点分析や限界利益・貢献利益管理などを学びます。
 なお、仕事がら会計知識が豊富な方もいます。そのような方にとっては、この会計テーマは既知の領域ですが、経営的視野からという点では新鮮に受け止めたり喜々として臨むことができます。さらに、業績というアウトプットをもたらすのは経営資源の配分や投資のタイミングや組織のチームワーク(思考力と行動力)であって、経理技能ではないことに気がつきます。

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4.最終的にはヒューマンな資質を重視します

上記の三つの能力が備われば事業責任者として十分なのでしょうか。答えは否です。特に三番面の会計能力はややもすれば『数字に強い』というだけでしかありません。大切なのは他のメンバーと一つの会社を運営する中で発生するコミニュケーションとリーダーシップです。多様な意見や異質な人柄を受け入れる度量の広さが求められます。
 例えば、「反対意見に対して反感を持たずに聞くことができる」とか、相手を説得したり、異なる意見でも合意せざるをえない局面を幾度となく体験します。つまりヒューマンスキルが無作為に試されます。そして、いろいろな経営局面においてトップマネジメントに要求される経営判断やリーダーシップとはどんなものであるのかを疑似体験します。これがコンセプチュアルスキル(ものごとの本質に迫る能力、木を見ず森を見る能力)です。この点を重視するとどうしても「ビジネスゲーム」という言葉で研修をするのは抵抗があります。

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5.二つの経験則

この研修で数千人以上のビジネスマンを見てきた経験から、二つの経験則を発見しました。

 一つは「チームワークと業績は比例する」です。よいチームワークとは「仲良し」という状態ではなく、議論が活発に行われる状態のことです。発言を誘発する雰囲気がメンバーの中から醸し出されており、各人が積極的に発言している状態です。発言の乏しい会社(グループ)は議論が不足し、反対意見がでないために意思決定の選択肢が狭まります。その結果、業績は悪化します。実業の世界にも通ずることではないでしょうか。

 二つ目は、個人に注目すれば「優秀な人はそれにふさわしい行動をとる」ということです。対象者は30才後半から55才くらいの人が多いのですが、すでにビジネスマンとしての型ができていますから、研修において急に特別な力が発揮されるわけではありません。もてるキャリア(ビジネス能力×人柄)がいやおうなく顕在化します。一目瞭然です。

 例えば、年功で今日に到達した人が本当にその地位にふさわしいのか、むしろ若い彼の方が柔軟で理解のスピードも速く、喜々として自ら汗をかいているではないか・・・・。あるいは「理解不足や失敗による恥を恐れて裃をぬがない」というようなことです。逆に、豊富な実務経験に裏付けされた話でメンバーを魅了し、経営幹部の候補者としてふさわしい人となりをみせるベテランミドルもいます。この研修は、人材が見えすぎてしまうという点で特異な研修です。

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6.まとめ

さて、このように多彩な目的を持つ経営シミュレーションですから3日間で上記のすべてを消化するのは不可能です。テーマの配分の重みは、クライアントのニーズや参加者の指向や問題意識の差、それらを見た上での講師の運営方針で決めさせて頂きます。
 おおざっぱに言うと、経営資源のバランスと経営判断のタイミングを試しながら、それを会計面から数字でとらえるところにウェイトをおきます。つまり経営判断の巧拙による業績の浮き沈みを把握します。ヒューマンな面については、講師からのコメントとして提示する程度です。特に取り上げたいときはアセスメントシートを使って参加者自身の気づきを刺激します。
 一見華々しく思われる経営戦略面については、それを最優先した目的でない限りは、直接的な時間としては多くはとりません。標準コースでは途中の発表場面や最後のまとめの中で要約して学習します。基礎となる「事業感覚」をきちんと押さえた人が「経験の理論化」として戦略理論を学習することは意義がありますが、そうでないままに戦略論に傾くことは危険です。企業は「机上の戦略家」を欲しているわけではありません。「理論整然と間違える」とか「戦略的な間違え方をする」という人材の養成であってはならないのです。

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